IT日記

Webエンジニアの徒然草

ベンチャーという名の幻想

ベンチャーの定義は様々だろうが、一般的には革新的なプロダクトやビジネスモデルで急成長を目指す企業を指す。だが、実際にはベンチャー、スタートアップを名乗っていてもこの定義に当てはまるか怪しい企業も多い。

実態は単なる中小零細企業であり、ITの分野では例えば、革新的なことなどまともに出来ていない単なる受託開発会社も珍しくはない。名乗るのに免許が必要になるわけではないのだ。

なぜ、ベンチャーと名乗るのか。はっきりいって対外的な見栄えのためであろう。特に人材採用面においてその名は効力を発揮する。

近年は緩和されてきた感はあるが、株式の上場を第一とし、従業員の過剰な労働を正当化する社風を持つところもある。劣悪なところでは、従業員に自社株を付与していないにも関わらず、である。(上場して主に利益を得るのは、その株を保有している者だけである。)

仮に自社株を保有していたところで、上場まで成長する企業の方が結局は少数派なのである。そのつもりもないのに一種のギャンブルをするのであれば、自社株を付与してもらう代わりに現金で給付されたほうがマシというものだ。

また、早くから仕事を任されるためより成長できるなどという謳い文句を言う会社も多い。特にこれらは新卒や社会人経験の浅い若手に向けて発信される。

早くから仕事を任されるのは嘘ではないが、要は人手が足りないのである。まともな訓練や引き継ぎもなく業務を行うのは、満足な装備を整える暇もなく実弾の飛び交う戦場に駆り出されるようなものだ。もしくは、誰でもできるような雑用ばかりを任せられるかである。得てして、小規模な会社では経験の浅い人員に訓練を施す余裕など無い。

ベンチャーを名乗る全ての会社に当てはまるわけではないだろうが、結局のところ、実際の待遇の悪さを夢や希望、成長などという曖昧なものでごまかそうとしているのがその実態である。読者には、企業選びの際にはそうした表面的な言葉に惑わされないことを心がけて欲しい。